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02日々のことblog

たねのつぎかた②「タネの図種館」|種図種コラム

更新日:17.06.30

文章 山口 敦央

第一話は、「持続可能な生き方、すなわち種からの自給自足。」「語り継ぐもの」としての在来種の種というテーマで話を聞き、種の大切さに気づき、種を集めたというお話でした。

LINK:たねのつぎかた①「種に魅せられて」

 

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■我武者羅に種を採る

「種が大切なんだ!」そんなことを思い、百姓仕事をしながら多くの種を採るようになっていました。2011年から採り始めた種は2015年には80種類以上になっていました。そして、たくさんの種を採ることは大変な作業でした。

11月、12月には「母本選抜(ぼほんせんばつ)」をします。
小松菜やカブ、白菜、大根、人参など、冬の野菜の中で、気に入った株を選び、植えかえる作業です。

4月・5月・6月は温かくなり農繁期を迎える時期です。
この時期は「田植えの準備」や「野菜の苗の植え付け」「植えつけた野菜の支柱立て」等々、田畑の作業が入ってきてとても忙しくなる時期ですが、同時に種採りの作業も忙しくなります。

4月から5月は小松菜やカブ、白菜といった「アブラナ科」の種を採るために、他の品種と交雑しないためのネットかけ。6月は種の収穫。天日干し、鞘(さや)を叩いて種を落とす、振るう、きれいにする、名前を書いて袋に入れるといった作業をします。

文字に書いてしまえばこのようなものですが、これはとても手間がかかり仕事としてお金にならないものでした。それでも「何でも種を採ってやる!」の精神で我武者羅に種採りに熱中していました。

 

■種を採る人々

我武者羅に種を採っていたけど、作業はわからないことだらけ。なので外に目を向け始めました。町内の移住者や有機農業の先輩農家さん、山口や出雲地方の種採り仲間たち、種採りの本を出している先輩方、広島ジーンバンク、野口種苗の提供者の農家さんなど、多くの方が種採りに取り組んでいることを知り、種の採り方を教わったり、種の交換会に顔を出すようになりました。

 

■たねの図種館

こうした交流の場に足を運ぶなか、音鳴文庫の八木君が「たねの図種館という場所がありますよ」と「こういうことしたいんだよなあ!」という取り組みをフェイスブックページから探し出してくれました(https://www.facebook.com/toshukan)

また学生時代に1年間滞在していたご縁のある土地長野県の安曇野でも、「あずみのたねCafe」(https://www.facebook.com/groups/119930968185548/)という取り組みがあり、各地で自家採取の種をみんなで保存していく活動を見て刺激を受けました。安曇野の取り組みは、バングラディッシュの「ノヤクリシームーブメント」という、種を継ぎ、持続可能な農業を行う活動にインスピレーションを受け始めたとの事。(このことは後ほどまた書きたい)

「自分が採る!」と何でもかんでも一人で採っていこうと肩肘張っていた気持ちがその時すっと解きほぐされていくのを感じました。

「一人で大変だとか言ってないで、色々な人が種を採り交換しあえたり、売ったり買ったりしたらいいのではないか!」「自家採取の種(自分で種採りをした種)が集まる仕組みがつくれたらいいな。」

こうして私の中に、持っているものをシェアをしていくというマインドが生まれ始めました。

 

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■俵種苗との出会い

それから少し経ち、種の採り方講習のイベントを始めた頃、糧のクニカタアヤさんから「会わせたい人がいるんだ。種屋なんだけど」と声をかけてもらい、津和野の俵種苗で行っていた各地のオモシロい人を繋ぐ飲み会「ハブナイト」というイベントに顔を出したのでした。

俵種苗店は以前、キュウリの種を購入しようとして問い合わせたら「うちではもう店に出している分しか売っていないんです。」と断られた種屋さんだっでした。すこし苦い思い出の場所で、俵種苗店のシホさんと会うことになりました。

俵種苗店は、鍛冶屋、農機具屋、種屋と時代と共に変遷してきたお店。かつて近隣の農家さんから種を購入し販売していたこの種屋さんも種採り農家はいなくなり、種の需要も減り、種屋としてほとんど機能しなくなっていました。歴史的建造物であることから店はたためず、先代に当たるお母さんから「人が集う場所」になったらいいと雑貨も扱うお店になったのが現在の形。

シホさんは
「お店の形は時代と共に変わる。内容が変わってもいい。ここが人が集う交流の場所にしたい。」と言っていました。普通の種屋さんは「自家採取」の種などなかなか興味を持ってくれないので、こういうお店なら新しい取り組みができるのではないか?と相談をしました。こうしてタネの図種館が俵種苗と共に歩みだすことになったのです。私はなんなら、この俵種苗店に来れば、近隣の島根山口のみならず、中国地方の[自家採取]の種がそろう店になったらいいな!と、妄想しています。

 

■おかげ回しのタネの図種館が始まる。

昨年の8月にヴァンダナシバさんの映画「命の種をだきしめて」の上映会
https://youtu.be/NjO9if9kF6Q

と共に《第一回タネの図種館・タネの交換会》が行われ、小規模ながらも多彩な人が集まってくれました。

何度も話題に出てきたタネの図種館の説明をします。タネの図種館は、借りた種を将来返していただく気持ちのある人に種を貸し出すプロジェクトです。借りた人は自家採取にチャレンジし借りた量の2倍にして返していただきます。

私たちは今、約10種類ずつの種を「俵種苗」「糧」「音鳴文庫」に図種館ということで預けています。全店舗をまわると私たちが管理している種のほぼ全部に出会えます。そして年に2回。春夏野菜の種がほしい時期と秋冬野菜の時期に《タネの交換会》を行っています。一気に多くの種を「借りたい人」や種取りの交流を深めたい方はこの交換会に是非参加して欲しいです。

こうしてタネのおかげ回しの実験がスタートしたのでした。

 

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■《タネの図種館 シマヤマ》

第二回目のタネの図種館、交換会の打ち上げにて、私たちはこういう話をしました。

山口「ここって、島根って感じでもないよね。この地域をうまく表現できないかな?」
——-「島根っていうかほとんど山口だよね。」
山口「じゃあ、そういう感じの名前をタネの図種館につけたい!」
——-「シマヤマじゃない?」

私たちは《タネの図種館 シマヤマ》と名乗る事にしました。
種を置いてみたいお店や種の提供者になってくれる仲間、継いだ種で食べ物を育ててみたい仲間を私たちは何時でも歓迎しています。お気軽にお声掛け下さい。

 

第二話終わり

 

第一話
たねのつぎかた①「種に魅せられて」

 


 

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《企画展開催中!》開催期間 ~8月初旬頃

種から学ぶ私たちの暮らし「タネの図種館‐Tsuwano‐」

《EVENT開催決定!》

7/30(日)タネの図種館@糧
10:00-12:00 畑の学校
(タネトリスト入門夏野菜の種採り、種採り野菜の糧ブッフェ付き)
14:00-16:00 タネCafe
(種の交換会、小さな種の市、暗室シアター、トーク&ライブ)
※詳細は後日。暫しお待ちを!


 

わたしの「たねのつぎかたMUSIC」紹介1
小さなトマト

 


山口 敦央(やまぐちあつてる)
タネトリスト
タネの図種館立ち上げメンバー
やまたねくらし主催
1981年生まれ 吉賀町在住 現在持続可能な生活の修行のためこの1年は三重と島根を往復